女性医師の働き方について
女性の研修医の皆さんや学生さんにとって、「女性」という理由で整形外科医を目指していいのか気になることもあると思います。将来を見据えたとき、女性医師は医師としての職務だけでなく、妊娠、出産、育児など、男性医師と比較して、より大切な時期がある可能性があります。福島県立医科大学整形外科では女性医師が整形外科医として続けやすい職場づくりを積極的に支援していますので、取り組みを紹介します。
福島県立医科大学整形外科医局員のうち、女性医師の比率は現在16%であり、医師10年以下では21%になります。福島県立医科大学の卒業生だけでなく、他大学から選んでくれた人もいるため、医師5年以下の女医比率は27%となっています(令和6年4月現在)。
1.妊娠中の業務内容
整形外科医師の業務内容は手術、外来、病棟業務、当直、研究活動などがありますが、妊娠中は手術と当直は免除の対象にいたします。また、手術と当直の仕事の少ない病院への転勤希望も優先したいと思います。妊娠や育児の時期を有効に使うために、学位論文をメインで行うのも良い方法と思います。
※妊娠中の放射線業務について
一般的に妊娠は2ヶ月頃判明することが多く、この時期は胎児の催奇形性について問題になる頃です。整形外科医の仕事上で女性医師が特に気になるのは放射線業務だと思います。女性放射線業務従事者の妊娠中の線量管理として放射線新外科医基本部会から、「出産までの期間に胚/胎児に対する線量が1mSvを超えないことを確実にする」(日本保健物理学会、http://www.jhps.or.jp/upimg/files/senryokanri_commentary170315%282%29.pdf)としており、一般的に妊娠初期を過ぎた時期であれば、放射線用プロテクターを着ていれば催奇形性はほとんど関係ないとされています。しかし、福島県立医科大学整形外科としてはできることならば妊娠中を通して放射線業務は避けることができる環境の方がよいと考えています。外勤先での手術の際に人手が足りない場合には、講座から応援の医師を派遣することも検討します。もちろん、個人の希望や業務内容にもよると思いますので、臨機応変に対応し、妊娠中に整形外科医を続けやすいように考えています。
2.産前・産後休暇&育児休暇について
産前休暇は原則的には産前6週(妊娠33週~)と産後休暇は産後8週間が義務付けられています。福島県立医科大学整形外科の所属女性医師は、本人の希望を重視して復職時期を相談しています。
3.育児休暇後の勤務先について
福島県立医科大学整形外科は女性医師の皆様が完全に医療から離れる時期が少ない方が、今後の復帰時に有利であると考えています。これまでの前例として、時短勤務での復帰や、外来業務のみで復帰した女性医師もいます。いろいろな考え方があると思いますので、できるだけご希望に添えるような勤務条件を勤務先と交渉したいと思います。
最後に、福島県立医科大学整形外科学講座に所属する女性医師のローテ―トモデルを以下のリンクで紹介しています。
ぜひ、ご参照ください。