TOP - 医学生・研修医の方へ - 海外留学の実際 - 奈良県立医科大学(川原田 圭)

奈良県立医科大学(川原田 圭)

川原田 圭

留学先:

奈良県立医科大学(2019年4月1日〜2020年3月31日)

 

留学先での研修内容

2019年4月1日から奈良医大整形外科で足の外科の研修として国内留学させて頂きました。1週間のスケジュールですが、奈良医大足の外科の手術日は月曜日と木曜日で、それぞれ3件以上の手術がコンスタントに行われていました。執刀も数件経験させて頂きました。火曜日は整形外科全体のカンファランスが大々的に行われ、水曜日と金曜日は外勤に行かせて頂きました。1年間で麻酔科管理の手術は5回程度で、ほとんど全ての手術が伝達麻酔(坐骨神経ブロックと伏在神経ブロック)による自家麻酔で行われていました。手術日は朝7時半から病棟の処置室で伝達麻酔をかけ始め、9時からの手術に備えました。様々な足の疾患の患者さんが手術を受けに奈良医大へいらっしゃっていましたが、外反母趾と変形性足関節症の手術の割合が多い印象でした。手術の手技はもちろんですが、その手術に至るまでの考え方が大変興味深く、印象に残りました。そこには奈良医大足の外科グループの歴史が詰められており、手術前の準備から術後管理まで、数多くの経験から導き出された珠玉の治療がございました。1年間の中で、海外発表1回と国内発表1回のチャンスを与えて頂きました。海外発表は、中国と北朝鮮との国境である長白山で行われた、奈良医大と中国・韓国の3大学の学会でした。長白山の会場に向かうにあたり、奈良医大の先生達10人で飛行機を乗り継いだ後、1台の大型タクシーに乗って山道を6時間くらいかけて向かいました。途中に奇妙なフルーツを道の駅みたいなところで薦められてトライしてみました。味の無いスイカであり、その後数日、体調が大変心配でしたが大丈夫でした。長白山に登ってみようとの奈良医大の田中教授の提案で、皆で頂上まで登りました。頂上には北朝鮮との国境があり、立ち入り禁止の看板が大きく立てかけてありました。今まで色んな旅行はしたつもりですが、一生の内にまたこの地に来る事はあるのかと思うと、感慨深い体験でした。発表自体は無事に終わりましたが、帰国した時の安堵感たるや半端なかったです。今でも奈良の先生方と会うと、長白山での思い出話に花が咲きます。

 

留学先での思い出

家族で折角奈良に1年住まわせて頂くという事で、奈良県を堪能しました。奈良医大にある橿原市は日本の歴史が始まった場所とも言われており、歴史的な観光名所もたくさん行けました。県外では、東は滋賀の琵琶湖、西は広島市あたりまで足を伸ばしました。飛行機に乗る機会にも多く恵まれ、伊丹空港は何なら今ではちょっと懐かしく感じる空港になってしまいました。(飛行機の上級会員にもなってしまいました。)

 

留学のメリット

留学は、先進的なものを得てくるイメージですが、それ以外にもたくさん良い事があります。その分野の第一線で活躍されている先生達の色んな苦労を覗く事が出来ます。自分の母校の良いところを確認出来る時間になります。自分が頑張りたい分野の友人が全国に出来、学会などでの再会が楽しみになります。日々の勤務へのモチベーションが上がります。留学はメリットがほとんどだと思います。

 

留学のデメリット

あまりないと思いますが、注意点はあるかもしれません。まず、ある程度の学年で留学した方が良いと思います。専門医をとって、専門分野の治療を数年行ってからが良いと思います。でないと、留学先でのディスカッションが浅くなってしまうと思います。留学時期に関係しますが、家族の有無も大事です。ご結婚されている先生であれば、奥様も留学が楽しめるタイミングであるかどうかは非常に重要かと思いますので、奥様に是非相談されると良いと思います。また、基本的には収入は下がります。ある程度貯金がある状態であると安心です。あまり貯金がない場合には、留学先で外勤をするという選択になるかと思います。私はこのパターンで、奈良近辺の30施設くらいの医療機関で外来や当直をやらせて頂きました。これはこれで良い思い出になりました。

 

後輩の先生方へ

私も含め多くの先生が、若い先生が留学し色んな経験をして、そのノウハウを持って帰って来てくれる事を楽しみにしていると思います。是非、どんどんチャンスあれば飛び出して行って頂きたいと思います。そして留学先では、福島医大の事を知りたいと思っている先生がたくさんいます。留学前には、自分の大学でどんな事を研究しているのか、仲間の先生の頑張っている事をよく知っておく事も大事だと思います。留学話、楽しみにしております!