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寛骨臼形成不全

患者さんの多くは女性ですが、その場合は発育性股関節形成不全の後遺症や股関節の形成不全といった子供の時の病気や発育障害の後遺症が主なもので股関節症全体の80%といわれています。最近は高齢社会となったため、特に明らかな原因となる病気に罹ったことが無くても年齢とともに股関節症を発症してくることがあります。乳児の臼蓋形成不全は股関節の骨盤側の出来が悪い(かぶりが悪い)ということなので、古くはかぶりが悪いから脱臼すると考えられたこともありましたが、現在は子宮内の肢位などのためであって、脱臼の原因ではないと考えられています。一方、日本人では成人男性の0~2%、女性の2~7%が股関節形成不全といわれており、その方たちに小児期に何かあったか聞いても殆ど何もありません。乳児期の臼蓋形成不全は基本的に自然改善すると考えるのが通説です。しかし、そうすると成人の臼蓋形成不全が何時、どんな形で成立するかが分かりません。ミッシングリングとでもいいますか、この点は現在も謎のままです。

通常は若い時は軟骨が柔らかく痛みを生じる頻度が低いですが、大人になるにつれて股関節の痛みを自覚するようになります。それでも、週に2、3回痛みが来る場合や、長く歩いたり、過度な運動をした場合に痛みを自覚し、少し休むと痛みが良くなります。徐々に進行してくると、軟骨が摩耗して、変形性股関節症に移行していく形になります。通常30代後半から40代で変形性股関節症進行し、人工股関節置換術が必要になる場合もありますが、変形が進行する前に、骨切り術という、骨を切って、回転し、股関節の屋根の被りを大きくし、股関節にかかる負担を減らして、軟骨の摩耗を予防していく治療(骨切り術)が行われます。労働休止期間も長くなるため(通常6ヶ月程度で復帰)、患者さん、家族とよく相談し、治療を選択していく形になります。