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手外科グループ
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概要
手外科の診療内容がすぐに浮かぶ方は一般的には少ないかもしれません。
古くは戦災から、高度経済成長期の労働災害や自動車事故などによる高度の上肢機能障害への治療を目的に手の外科が必要とされ発達してきました。
1965年に奈良県立医科大学の玉井進先生が世界で初めて母指の再接合術に成功されて以来、マイクロサージャリーを駆使することで、遊離皮弁など手指以外の組織移植が可能となり、マイクロサージャリーを用いた四肢軟部組織欠損や機能障害に対する機能再建が手の外科の特徴的な仕事の一つと言えます。
手、手指の外傷、骨折、切断、神経損傷はもちろん、手関節・手指変形性関節症、関節リウマチ、小児先天異常の再建においても、手関節鏡、拡大鏡、顕微鏡などを用いて、手の中にある繊細な構造をできるだけ詳細に観察し、必要以上の手術侵襲を避け、適切な治療を行うことが手外科医の仕事として求められます。
手、手指には、その限られた構造の中に骨関節・筋・腱・神経・血管などが精密に配置され、複雑な相互作用により滑らかで複雑な手の動きを可能にしています。手術侵襲は、術後の浮腫や癒着を引き起こし、手の機能回復の妨げになることがあります。
手はその小ささ故に、高度に癒着した微細な組織の機能を後から取り戻すことは非常に困難です。専門的な知識を有する作業療法士が治療の早期から携わり、装具療法や作業療法士によるハンドセラピーと患者さんのリハビリテーションに対する知識を高めていただくことにより、より高い治療のゴールを目指せると考えています。
不幸にも十分な機能回復が得られなかった場合には、義肢装具士の方と相談して、少しでも日常生活に必要な機能の補助ができるようにお手伝いできればと思います。
メンバー
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学内講師(医局長)
亀田 拓哉Takuya Kameda
小林一貴先生
助手
小林 一貴Kazuki Kobayashi
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助教
伏見 友希Yuki Fushimi
写真全体
助手
長島 智春Chiharu Nagashima
代表的な疾患と治療法
切断指治療

切断指は、組織障害に応じて、血管吻合が可能であれば再接合術を行います。 再接合できた場合には、1週間のベッド上安静が必要です。約3週間程度の入院と3ヶ月程度の通院リハビリテーションが必要です。 血管吻合ができない場合や、組織障害が強い場合には、断端の長さを少しでも長く保つために局所皮弁手術による創閉鎖を提案することがあります。 皮弁の血行障害などに対処するため、2週間程度の入院と3ヶ月程度のが依頼

デュピュイトレン拘縮

デュピュイトレン拘縮は、手のひらのの皮下にある手掌腱膜に異常な索状構造が出現し、収縮することで、手指の伸展障害を生ずる病気です。糖尿病が関与する病態や、遺伝などが関わっているとされています。 手術では、異常な索状物を切除します。術後、皮膚の血行障害を生じることがあるため、2週間程度の入院を要します。 以前、軽傷から中等症には、蛋白分解酵素による注射治療で索状物を破断させる低侵襲治療がありましたが、

母指CM関節症

母指の手首近くにあるCM関節は6軸の運動が可能な可動域の大きい関節であり、母指の動きに対して最も負荷がかかります。手の変形性関節症では、手指末節のへバーデン結節に次いで有病率が高い疾患です。 保存療法では、鎮痛薬の内服、外用薬、装具療法などを行います。注射はステロイド注射が中心となるため、疼痛が強い時の最小限の使用にとどめています。 保存療法では痛みの改善が得られない場合には、手術療法を行います。

小児先天異常

生まれつき手の形態が異なる形で生まれてくる赤ちゃんがいます。 心臓や消化管などそのほかの先天異常を合併しているお子さんも少なくありません。 当科では、他の診療科と連携をとり、手の先天異常に対して、それぞれの病態に合わせた治療を提案し、治療を行います。 母指多指症   橈側列形成不全 母指対立再建術 Huber-Littler法   橈側列形成不全 母指化術 Buck-Gramc

足指移植術

母指などの重要な指が欠損した場合には、第一足指または第二足指を移植することができます。 手術では、マイクロサージャリーを用いて、血管と神経の縫合を行います。 術後1週間程度のベッド上安静を必要とし、約3週間程度の入院が必要です。術後3-6ヶ月程度の外来リハビリテーションが必要です。  

遊離皮弁

手に限らず、悪性腫瘍の手術や外傷によるの四肢の骨軟部組織欠損などに対し、遊離組織移植を含めた機能再建を行なっています。 移植する組織は主に、大腿部や背部から移植します。 血管吻合を行いますので、術後1週間のベッド上安静と約3週間程度の入院が必要です。

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三角線維軟骨複合体(TFCC)損傷

手関節の小指側に、膝の半月板に相当するTFCCが存在します。 手をついた際などに損傷を起こすことがあります。 当院では、関節鏡視下に病態を確認し、TFCC縫合術またはTFCC再建術などを行います。

舟状骨偽関節

手関節を構成する手根骨の一つである舟状骨が骨折後に治癒が得られない場合には、特有の変形性関節症に進展することが知られています。疼痛が軽度であっても、不安定な舟状骨偽関節は治療することが必要です。 従来の舟状骨への自家骨移植術のほかに、鏡視下での舟状骨偽関節手術も行なっています。 鏡視下舟状骨偽関節手術 掌側靭帯が温存でき、手関節の可動域が良い    

研究テーマ
骨軟部肉腫切除後の機能再建
腱障害における新規治療標的の検討
上肢麻痺の機能再建